診察基準の指針は、DSM-IV(「精神障害のための診断と統計のマニュアル」第4版)と世界保健機関(WHO)によるICD-10に収録されたものの2種類があります。一般的には、DSM-IV(「精神障害のための診断と統計のマニュアル」第4版)の診断基準を元に診察することが多いようです。
◎DSM-IV(「精神障害のための診断と統計のマニュアル」第4版)◎
DSM-IV(「精神障害のための診断と統計のマニュアル」第4版)の和訳したものが『医学書院』から発行されています。また、『Yahoo!ヘルス/家庭の医学/(心的)外傷後ストレス障害/症状』にも一部が掲載されているので、詳しく知りたいという方は参考になさってください。
ここでは、DSM-IV(「精神障害のための診断と統計のマニュアル」第4版)の特徴について簡単に書きたいと思います。
*A項目・出来事基準*
PTSD診断において、トラウマ(心的外傷)となる出来事体験は、生命に関わるような、もしくはそう感じさせられるようなものであることと限定されています。A項目では、その出来事の種類が具体的に挙げられています。
*B項目・再体験*
フラッシュバックなどの症状が出ているか否かを、5項目にわたって調べます。5項目中、ひとつ以上当てはまる症状がなければいけません。
*C項目・回避*
「トラウマに関係する思考や感情、会話を回避しようとする努力」など7項目中3つ以上当てはまる症状が出ていなければいけません。
*D項目・過覚醒*
前ページで挙げた不眠などの“覚醒亢進症状”が、5項目中2つ以上当てはまる症状が出ていなければいけません。
以上の必須条件を満たしていて、症状が1ヶ月以上続くものだけがPTSDだと診断されます。
◎PTSDに関連した病気◎
PTSDは、一般的に、トラウマ(心的外傷)体験後、数週間から数ヶ月の間に発症。そしてその症状が1ヶ月以上続くことが条件となっています。
ただし、トラウマ(心的外傷)となる出来事の体験直後から、上記に挙げたような症状やその他のショック症状(現実感の喪失など)が現れる場合も多いのです。症状が現れ出してまだ1ヶ月未満の場合、ASD(急性ストレス障害)と診断されます。
また、最近は児童虐待など慢性のトラウマ体験により、長期に渡って何度もトラウマとなる出来事を経験してきたPTSDの患者を、複雑性PTSD(C-PTSD)や外傷性精神障害として分類しようという意見もありますが、今はまだ検討中の段階です。
複雑性PTSDを単なるPTSDから分類しようとするのは、症状に特徴が見られるからで、特に対人関係において障害が生じたり、感情調節、解脱症状、自己破壊的な衝動などが挙げられます。DSM-IV(「精神障害のための診断と統計のマニュアル」第4版)においては症例報告に過ぎませんが、専門的に研究している医師もいて、今後に注目されています。
◎PTSDに併発する病気◎
PTSD患者は、強いストレスと精神障害に悩まされる為、他の精神障害を併発するケースもあります。うつ病や恐怖症、全般性不安傷害などが挙げられます。また、パニック発作を起こす場合もありますが、この場合注意して欲しいのは、パニック発作=パニック障害ではないということです。
パニック発作とは、呼吸の異常や体の震え、胸の痛みなどの自律神経症状と、それにともなう強い不安感や恐怖感、非現実感などの精神的な症状が、死ぬかと思うほど強烈な形で襲ってきます。
パニック障害は、パニック発作を起こす人が、その他の条件も満たした上で診断される病気ですので、PTSD患者がパニック発作を起こしたからといって、即、パニック障害だとは診断されません。